PNFとは
PNF(Proprioceptive Neuromuscular Facilitation)は、筋肉の弛緩と強化を組み合わせたリハビリテーション技術です。1950年代に初めて開発され、主に理学療法やスポーツ医学の分野で広く使用されています。
PNFの基本的な原則は、筋肉の収縮と弛緩を交互に行うことで、筋力の向上や運動能力の改善を促進することです。PNFは、神経系と筋肉の相互作用を活用して、運動制御や動作パターンの改善を行うことができます。
PNFのテクニックには、以下のようなものがあります。
収縮-弛緩法(Hold-Relax)
施術者が患者の筋肉にストレッチをかけ、その後に患者がその筋肉を収縮させ、さらにリラックスさせる方法です。筋肉の柔軟性と可動範囲を瞬時に向上させることができます。
収縮-弛緩-収縮法(Holr-Relax-Contraction)
施術者が患者の筋肉にストレッチをかけ、その後に患者がその筋肉を収縮させ、その状態を維持しながら対抗筋を収縮させます。その後、両方の筋肉をリラックスさせます。これにより、筋力と筋肉の柔軟性の両方が向上します。
斜め抑制法(Agonist Contraction)
施術者が患者の筋肉を伸ばした際に、患者が一緒に筋肉を伸ばすように力を入れる方法です。これにより、伸展される筋肉がより深く伸ばされる効果があります。
パターンディガン(Pattaern Diagonal)
体の斜め方向に沿って特定の運動パターンを用いて、全身の筋肉の強化と調整を行います。
PNFは、神経学的なアプローチを含むため、脳梗塞後遺症による片麻痺など、神経障害や筋肉の制御に問題がある患者に対しても有効です。もちろん、スポーツ選手や一般の人々に対してもおすすめの方法で、筋力、柔軟性、運動中のパフォーマンスの向上に役立ちます。
PNFの特徴
PNFには次のような特徴があります。
神経系と筋肉の相互作用
PNFは、神経系と筋肉の相互作用を活用して、運動制御や運動能力の改善を促します。筋肉の収縮と弛緩を組み合わせることで、神経系と筋肉のつながりを強化し、動作の正確さや効率性を高めてくれます。
機能的な動作パターンの強化
PNFという方法論が、体の自然な動作パターンに基づいて設計されています。そのため、日常生活やスポーツなどで必要とされる動作パターンを強化するのに効果的です。例えば、歩行、持ち上げ、投げるなどの動作を改善したり、強化するために使用することができます。
多関節の動きに対応できる
PNFは、複数の関節や筋肉グループを同時に動かすことに焦点を当てています。身体は、運動連鎖と呼ばれるネットワークで動作を行います。そのため、複雑な動作や運動の調整に有効なPNFは施術に大変役立ってくれます。この特徴は、スポーツ選手や日常生活でのお困りごとがある人にとって効果的です。
全身に作用する
PNFは、身体全体の連動性を考慮して設計されています。一つの部位だけでなく、全身の筋肉や関節のバランスを調整することで身体全体の機能性を高めたり、特定の関節にかかる負担を減らすことができます。
個別にカスタマイズされたアプローチ
PNFは個人個人の患者さんやクライアントの目的に合わせてカスタマイズすることができます。そのため、様々な疾患や症状、運動能力や競技に応じたプログラムを作成することが可能です。
PNFは、リハビリテーション、スポーツトレーニング、身体能力向上などのさまざまな分野で広く使用されています。その独自の特徴によって、様々な目標の達成に役立ちます。
PNFの効果
PNFの効果は以下の通りです。
筋力の向上
PNFは筋肉の収縮と弛緩を組み合わせることで筋力の向上を促進します。弛緩後の収縮を通じて、筋肉の収縮力や持久力の強化が図れます。スポーツ選手やリハビリテーションの患者さんには、この効果を期待して施術することがあります。
筋肉の柔軟性の向上
PNFは、筋肉の弛緩と伸展を組み合わせることで、筋肉の柔軟性を向上させます。収縮後の弛緩を利用することで、筋肉にはストレッチの効果があります。その結果、関節の可動域が拡大します。
運動パフォーマンスの向上
PNFは、身体の機能的な動作や運動の調整を改善することで、運動中のパフォーマンスを向上させます。特定の競技や競技中に必要な動作の正確さや効率性を高め、パフォーマンスを向上させることが可能です。
神経筋系の活性化
PNFは、神経系と筋肉の相互作用を活用して、神経筋系の活性化を促します。これにより、筋肉の制御や動作の精度が向上し、運動能力やバランスを改善することができます。
痛みや不快感の軽減
PNFで筋肉のバランスや動作パターンを改善することにより、痛みや不快感を軽減させることができます。姿勢の問題や過負荷による疲労に対しては特に有効です。
リハビリテーションの支援
PNFは、リハビリテーションの領域で広く使用されています。特に、脳梗塞患者の神経障害や筋肉の制御の問題、フレイル患者の筋力などに対処することが可能で、患者の機能回復や日常生活への復帰を後押しすることができます。
PNFは、こういった効果を組み合わせることで幅広い目標の達成が可能となります。ただし、1回の施術で身体が驚くほど変化するというものではなく、プログラムを組んで短期目標、長期目標を設定した上でおこなっていくことが重要となっています。
PNFの対象疾患
PNFは、様々な疾患や症状に対して効果的ですが、特に以下のような状況や疾患に対しての効果が高い方法です。
整形外科疾患以外の症状
- パーキンソン病
- 多系統萎縮症
- スティッフパーソン症候群
- 脳梗塞後遺症など筋肉の緊張を伴う病気
- 関節リウマチ
- 膠原病
- シェーグレン症候群
- メニエール病
- 頭痛
- 自律神経失調症
- 不安神経症
- 不安・抑うつ
- コロナ感染後遺症
整形外科疾患全般
- 変形性頚椎症
- 頚椎症性神経根症
- 頚椎症性脊髄症
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 肩関節周囲炎
- 四十肩、五十肩
- 腱板損傷
- アキレス腱炎
- 足底筋膜炎
- 踵部脂肪体障害
- 蜂窩織炎
- 頸椎捻挫後遺症(ムチウチ)
- 腰椎捻挫
- 手足の痺れ
- 膝関節痛
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
- 股関節痛
- 変形性股関節症
- 臼蓋形成不全
- 股関節インピンジメント
- 先天性股関節脱臼
- オスグッド・シュラッター病
- シンスプリント
- ジャンパー膝
- タナ障害
- 野球肩
- 野球肘
- 水泳肩
- テニス肘
- ばね指
- ガングリオン
- 腱鞘炎
- ドケルバン症候群
- へバーデン結節
PNFは、これらの疾患や症状に対して効果的な治療法として広く使用されています。
当院でのPNF
私がPNFを学んだ当時は、鍼灸師に対してはPNF学習の門戸は開かれていませんでした。学べたきっかけは大学院の学生であり大学病院の研修生であった頃、スポーツ科学部の学生相手にトレーナー活動をしている中で出会った一流のトレーナーや理学療法士の先生から教わることができたのは貴重な財産となっています。
当院ではPNFと動作解析の手法であるM-Testやインピンジメントリリースと組み合わせ、『この動作ができない人にはこの手法』という様に、特定の動作に対して確立した方法で施術を行います。
脳血管疾患や難病のため筋肉が強張りやすい方、整形外科疾患や関節リウマチなど、慢性的な疼痛が主訴の方、スポーツ障害にお悩みの方や競技中のパフォーマンスを向上させたい方は当院にご相談ください。
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