鍼灸とは
鍼灸(しんきゅう)は、中国や日本などの伝統的な東洋医学の一部であり、治療法の一つです。主に針(はり)と灸(きゅう)を用いて行われます。
近年ではアメリカや中国など、予防医学先進国を中心にその効果について見直されてきており、世界的に盛んになってきている印象です。
鍼灸は、様々な症状や疾患に対する治療や症状の緩和に使用されます。その効果は、西洋医学の観点からも一部が認められており、特に疼痛管理やストレス軽減などの分野で利用されることがあります。
鍼灸の特徴
- 鍼(はり): 細い針を特定の部位に刺すことで、身体のエネルギーの流れ(気、または「気」)を調整し、身体の調子を整えることを目的とします。この針は特定の経絡(経絡)と呼ばれる身体のエネルギーパスに沿って配置されることがあります。
- 灸(きゅう): 灸は、艾草(薬草の一種)を燃やして得られる熱を用いて、特定の経絡や経穴に熱を加えることで治療を行います。これにより、身体の気の流れを調整し、血行を改善し、痛みを和らげる効果が期待されます。
鍼灸の効果
鍼灸の効果は、様々な健康問題や疾患に対してさまざまなレベルで研究されています。以下に、鍼灸の一般的な効果として知られているいくつかの点を挙げますが、これらの効果を挙げるには個々の人や状況を正しく見極める必要があります。
- 疼痛管理: 鍼灸は、特に慢性疼痛の管理に効果的であるとされています。腰痛、頭痛、関節痛、筋肉痛など、さまざまな種類の疼痛に対して症状の軽減や管理が期待されます。
- ストレス軽減: 鍼灸はリラックス効果をもたらし、ストレスや不安の緩和に役立つとされています。経穴に針を刺すことで身体の気の流れを調整し、心身のバランスを整えることができます。
- 炎症の軽減: 鍼灸は免疫システムを調整し、炎症を軽減する助けとなることがあります。特に関節炎などの炎症性疾患に対して、症状の緩和や炎症の進行を抑制する効果が期待されます。
- 消化器系の調整: 鍼灸は消化器系の機能を調整し、消化不良、胃痛、便秘などの症状の改善に役立つとされています。
- 睡眠の改善: 鍼灸は睡眠の質を改善する助けとなることがあります。不眠症や睡眠障害の患者に対して、リラックス効果や身体のバランスの調整により、睡眠の質を向上させる効果が報告されています。
鍼灸の効果は患者さんの個々の状況や疾患によって異なりますが、多くの場合、症状の緩和や身体の調整、健康維持に役立つとされています。
鍼灸の対象疾患
鍼灸はさまざまな疾患や症状に対して利用されていますが、その効果や適応範囲は個々の人や状況によって異なります。鍼灸の効果は世界保健機構(WHO)でも認められており、一般的には、以下のような疾患や症状に対して利用されています。
- 疼痛症状: 腰痛、頭痛、肩こり、関節痛、筋肉痛など、さまざまな部位の疼痛
- 神経系の疾患: 神経痛、坐骨神経痛、てんかん、帯状疱疹後の神経痛など、神経系に関連した痛みや疾患
- 消化器系の問題: 消化不良、胃痛、便秘、下痢、胃食道逆流症(GERD)など、消化器系の機能障害
- 呼吸器系の疾患: 喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性鼻炎など、呼吸器系の疾患
- ストレスや精神的な問題: 不眠症、うつ病、不安障害、ストレスなど、精神的な健康問題
- 婦人科の疾患: PMS(月経前症候群)、不妊症、更年期障害など、婦人科疾患や女性特有の問題
当院で対応している症状は以下となっています。
整形外科疾患全般
- 変形性頚椎症
- 頚椎症性神経根症
- 頚椎症性脊髄症
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 肩関節周囲炎
- 四十肩、五十肩
- 腱板損傷
- アキレス腱炎
- 足底筋膜炎
- 踵部脂肪体障害
- 蜂窩織炎
- 頸椎捻挫後遺症(ムチウチ)
- 腰椎捻挫
- 手足の痺れ
- 膝関節痛
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
- 股関節痛
- 変形性股関節症
- 臼蓋形成不全
- 股関節インピンジメント
- 先天性股関節脱臼
- オスグッド・シュラッター病
- シンスプリント
- ジャンパー膝
- タナ障害
- 野球肩
- 野球肘
- 水泳肩
- テニス肘
- ばね指
- ガングリオン
- 腱鞘炎
- ドケルバン症候群
- へバーデン結節
整形外科疾患以外の症状
- パーキンソン病
- 多系統萎縮症
- バセドウ病
- 橋本病
- スティッフパーソン症候群
- 脳梗塞後遺症
- 関節リウマチ
- 膠原病
- シェーグレン症候群
- メニエール病
- めまい発作
- 良性発作性頭位めまい症
- 動悸
- 頭痛
- 自律神経失調症
- 不安神経症
- 不安・抑うつ
- コロナ感染後遺症
これらの疾患や症状に対して鍼灸が効果的であるとされていますが、個々の状況や体質によって効果が異なる場合があります。また、鍼灸は補完的医療として利用されることが多く、従来の医療と組み合わせて総合的なアプローチが取られることが一般的です。
世界の鍼灸事情
中国での鍼灸は有名ですが、アメリカなど予防医学先進国でも鍼灸は積極的に活用されています。における鍼灸事情は以下のような特徴があります。
アメリカ
- アメリカでは、鍼灸は補完代替医療(CAM)の一部として認識されています。CAMは、従来の医療を補完または代替する医療アプローチの総称です。
- アメリカでは、各州によって鍼灸の法的地位や規制が異なります。一部の州では、鍼灸師は州のライセンスを取得する必要があり、日本の医師と同じく6年制の教育とトレーニングを経て合格する必要があります。
- 鍼灸は、日常的に疼痛管理、ストレス軽減、不妊治療など、さまざまな症状や疾患の治療に利用されています。また、健康維持や予防にも利用されることがあります。
- 医療機器を持ち込めない戦地での健康管理対策として用いられています。米軍で使われているこの方法はBattlefield acupunctureと呼ばれ、主に疼痛の管理やストレス軽減、精神の安定などに役立てられています。
中国
- 中国は鍼灸の発祥地の一つであり、鍼灸は伝統的な医療システムの中心的な要素です。
- 中国では、鍼灸師は国家認定の資格を取得する必要があります。多くの医療機関や施設で鍼灸治療が提供されています。
- 鍼灸は、西洋医学と組み合わせて病気や症状の治療に利用されることが一般的です。また、伝統的な鍼灸法は、予防医学や健康維持にも広く利用されています。
- 中国では、手術を鍼麻酔で行うことがあります。鍼麻酔で痛みを感じなくすることで麻酔薬による身体へのダメージを軽減することができます。術後の状態が良いため、鍼麻酔が有効な方に対しては重宝されています。
これらの国々では、鍼灸が従来の医療と補完し合う形で、症状の管理や予防医学の一環として利用されています。
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