運動鍼とは
運動鍼(うんどうしん)は鍼灸の施術テクニックの一つです。鍼灸の項目でご紹介しても良かったのですが、効果としては一線を画すものがありますし、ファンも多い方法の一つですので別枠でのご紹介です。
運動鍼は身体に『鍼を刺したまま運動をする』という、読んで字の如くの施術方法です。
運動をするといっても、その場でできる簡単な運動です。
膝であれば屈伸をしたり、施術者が動作を補助する他動運動と呼ばれる動作で行いますし、腰であれば腰に刺したままで前屈や後屈を行います。
皮膚に軽く刺さる程度で刺激を行い、運動を負荷する弱い刺激での運動鍼と、筋肉に深く刺して運動を負荷する強い刺激での運動鍼があります。
それぞれ目的が違うので、筋肉の状態によっての使い分けが大切になってきます。
刺したまま身体を動かすと聞くとなんだか怖いイメージですが、浅く刺す方法は基本的には痛みはありません。終わった後のスッキリ感が違うため、一度受けると毎回、受けたいという患者さんも大勢いらっしゃいます。
深く刺す方法はさすがに痛みを伴います。筋肉に深く刺したままで筋肉が動くため、まぁまぁ痛いです。しかし、その分効果は高いので、早く改善したい方や試合が迫っているアスリートには非常におすすめの方法となっています。
運動鍼の特徴
運動鍼の特徴として、通常の鍼灸刺激よりも『筋肉を緩める』という目的に対して高い効果を期待できる方法となっています。
鍼を刺している間、鍼を刺している箇所から脊髄や脳に信号が送られています。その間、身体は『反射』と呼ばれる反応を起こしており、この反射が続いている間に身体を動かすことで運動効果を高めることができます。
浅く刺す運動鍼では、軸索反射と呼ばれる、筋肉がほぐれるような信号が送られます。この間に運動をすることで、関節の可動域が大きく広がったり、筋肉の過緊張による関節への負担がない状態で関節を動かすことができます。
リハビリの効率が良くなったり、関節運動のメカニックがおかしくなっている場合に特に有効で、関節の痛みやアスリートなどのコンディショニングに特に有効となる方法が、浅く刺す運動鍼です。
では、深く刺して動かす運動鍼はというと、活動電位と呼ばれる信号を筋肉に強く送ります。また、動かす際に筋膜繊維やfacsiaを傷つけることで膜の滑走性を高めることもでき、拘縮など動かない状態になってしまった筋肉を強制的に動くようにするイメージをしていただけるとわかりやすいです。
こちらはさすがにいきなりやるということはなく、必ず同意をいただいた上で行わせていただく方法です。
運動鍼の効果
運動鍼の効果は浅く刺す方法、深く刺す方法のそれぞれで異なります。筋肉の状態によって使い分ける必要があり、状態が良い場合は浅い運動鍼、状態が悪く拘縮が進んでいる状態やぎっくり腰などの急性期でほとんど動けないようなひどい状態の時には深い運動鍼が効果的です。運動鍼は次に挙げるような効果が期待できます。
筋肉の柔軟性の向上
筋肉の柔軟性が向上し、関節への負担を和らげます。硬くなってしまった筋肉や過緊張のある筋肉は関節に対して負荷をかけ、痛みの原因となってしまいます。柔軟性のある筋肉を作ることで、痛みの原因を取り除きます。
関節可動域の拡大
筋肉の柔軟性が向上するため、関節可動域も拡大します。それまで痛みや突っ張りで動かせなかった関節だけでなく、身体の硬さで減少した可動域にも効果があり、自分の力だけでは届かなかった角度まで身体を動かすことが可能になります。
リハビリとの併用
運動鍼は、リハビリとも非常に相性の良い治療です。一般的なリハビリは関節可動域を獲得するために行われたり、拘縮予防のために行われることが多く、動かない筋肉を無理矢理動かすことも少なくありません。運動鍼を併用することで痛みが少ない状態でリハビリを行えたり、短期間で目的の関節可動域を獲得できるなど併用には大きなメリットがあります。
治療期間の短縮
関節可動域の早期獲得や柔軟性が大きく向上することから、治療期間を大幅に短縮することが可能です。特に関節を固定する保存療法の後や、五十肩などでしばらく筋肉を動かせなかった期間の後など、長めのリハビリを必要とする時にはおすすめです。
即効性のある治療
運動鍼の効果で患者さんが驚くものにその即効性があります。鍼を刺して動作をするたびにどんどん動きやすくなったり、動かすたびに痛みが軽減していきます。鍼には即効性がないと考えている方もいらっしゃいますが、方法次第ではその場で大きな変化を感じられることが多いです。
運動鍼の対象疾患
運動鍼は主に整形外科疾患で使用します。自律神経疾患でも使用することがありますが、効果が強く出過ぎた場合、血管が一気に拡張することで一時的な貧血症状を呈することもあり、注意が必要です。
整形外科疾患全般
- 変形性頚椎症
- 頚椎症性神経根症
- 頚椎症性脊髄症
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 肩関節周囲炎
- 四十肩、五十肩
- 腱板損傷
- アキレス腱炎
- 足底筋膜炎
- 踵部脂肪体障害
- 蜂窩織炎
- 頸椎捻挫後遺症(ムチウチ)
- 腰椎捻挫
- 手足の痺れ
- 膝関節痛
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
- 股関節痛
- 変形性股関節症
- 臼蓋形成不全
- 股関節インピンジメント
- 先天性股関節脱臼
- オスグッド・シュラッター病
- シンスプリント
- ジャンパー膝
- タナ障害
- 野球肩
- 野球肘
- 水泳肩
- テニス肘
- ばね指
- ガングリオン
- 腱鞘炎
- ドケルバン症候群
- へバーデン結節
整形外科疾患以外の症状
- パーキンソン病
- 多系統萎縮症
- バセドウ病
- 橋本病
- スティッフパーソン症候群
- 脳梗塞後遺症
- 関節リウマチ
- 膠原病
- シェーグレン症候群
- メニエール病
- めまい発作
- 良性発作性頭位めまい症
- 動悸
- 頭痛
- 自律神経失調症
- 不安神経症
- 不安・抑うつ
- コロナ感染後遺症
当院での運動鍼
運動鍼は効果が出やすく即効性のある治療方法です。そのためか、痛い治療法であるにも関わらず必ず治療に運動鍼を入れてほしいと訴える方も大勢いらっしゃいます。
当院ではできる限り浅い、痛みのほとんどない運動鍼を使って緊張を緩め、どうしても必要に迫られた際に深い痛みを伴う運動鍼を、患者様の同意のもとで行なっています。
また、患者様に対しての強すぎる刺激ができるだけ少なくなるよう、運動鍼を行う以前の検査を大切にし、必要最低限の鍼で最大の結果を出せるよう心がけています。
鍼灸に即効性がないと思われている方は是非おすすめなので受けてみてください。
関節の拘縮、痛みでお困りの方は福岡市西区の鍼灸院おるきにご相談ください。
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