オステオパシーとは
オステオパシーは、痛みや不調を改善するために、人体の組織や機能のバランスを調整する総合的な医学的アプローチです。オステオパシーは、手技療法を中心としています。身体の組織、筋肉、骨、関節、神経などの構造や機能に焦点を当て、各組織が動きやすい方向に導いてあげることを目的に施術を行います。
オステオパシーはアメリカ合衆国で発症した補完医療です。
19世紀後半に、アンドリュー・テイラー・スティル(Andrew Taylor Still)というアメリカの医師によって考案されました。スティルは、当時の医学の限界に不満を抱き、身体の自然な治癒力を信じ、病気や痛みを根本的に治療する手法を模索しました。
そしてスティルは解剖学や生理学を学び、手技療法を中心とする独自の治療法を開発しました。
その後、オステオパシーはアメリカ国内で広まり、20世紀には学校や協会が設立され、オステオパシーの教育と普及が進みました。また、オステオパシーの理念や手技療法は他の国々にも広まり、カナダ、イギリス、オーストラリアなどでも一定の人気を誇っています。
現在、オステオパシーは世界中で広く知られ、様々な国で実践されています。
オステオパシーは発祥地のアメリカをはじめ、フランスやオーストラリアでは医療系の国家資格として認められています。
アメリカでは、オステオパス(Doctor of Osteopathic Medicine、DO)は、医師と同等の独立した医療資格として認識されています。
オステオパシーの学位を取得した医師は、他の医学博士(MD)と同じく、患者の診断、治療、処方、そして手術などを行うことができます。
もちろん開業権も備わっており、医師と同様にクリニックを構えることが可能です。
日本では残念ながら国家資格ではありません。民間資格の一つとなっており、モノによっては合計2〜3週間のセミナー受講で資格を取得することができます。
オステオパシーの特徴
オステオパシーの主な特徴は以下の通りです。
身体の統合的アプローチ
オステオパシーでは身体の異なる部分が相互に関連し、全体として調和を取ることが重要であると考えられます。そのため、痛みや不調の原因を特定し、治療する際に、身体のさまざまな要素を統合的に考えることが重要となっています。
手技療法の使用
オステオパシーでは、手技療法が中心となります。整形外科医や理学療法士が使う技法と同様に、オステオパシーのセラピストは、関節の調整、筋肉のマッサージ、筋膜のリリースなど、さまざまな手技を使用して身体のバランスを調整しています。
身体の自然治癒力の促進
オステオパシーを施術する目標の一つは、身体の自然な治癒力を促進することとなっています。身体が本来持っている自己修復メカニズムを活性化させ、痛みや不調を解消するために、身体のバランスを調整します。
個々の状態に合わせたアプローチ
オステオパシーは、個々の患者の状態に合わせて治療を行います。身体の構造や機能の詳細な評価を行い、その結果に基づいて、治療プランを組み立てます。そのため、同じ症状でも異なるアプローチが普通です。
オステオパシーは、慢性的な痛み、怪我、神経系の問題、消化器系の問題、呼吸器系の問題など、さまざまな症状や疾患に対して有効です。ただし、オステオパシーは代替医療ではなく、補完医療として捉えられることが一般的です。
オステオパシー単独で行うのではなく、他の技術と組み合わせて施術を行うべきと言われています。症状や疾患の診断や治療には代替医療だけではなく、西洋医学的なアプローチも含めて考慮に入れておくことが重要です。
オステオパシーの効果
オステオパシーの効果は個人や状況によって異なります。また、単独で使用することが想定されていないためオステオパシーだけの効果としてのご紹介が難しいものの、一般的には次のような効果が報告されています。
痛みの軽減
オステオパシーは、慢性的な痛みや急性の痛みを軽減することが可能です。筋肉や関節の調整、神経の圧迫の解放などを目的にさまざまな手技療法を使用することで痛みを緩和することができます。
柔軟性と可動域の向上
他の手技療法と同様に、筋肉や関節の柔軟性が向上し、関節の可動域が広がることがあります。オステオパシーでは筋肉の柔軟性に関与する筋紡錘と呼ばれる組織にアプローチを行います。これにより、日常生活やスポーツなどの活動における身体の機能や効率が向上します。
姿勢の改善
オステオパシーでは、悪い姿勢は様々な痛みや不調の原因となると考えられています。私個人としては、悪い姿勢であったとしても身体全体の機能が正常に働くことで痛みや不調を防ぐことが可能と考えていますが、悪い姿勢が負担をかけやすい姿勢であることには変わりがありません。ということで、オステオパシーの施術によって姿勢が改善されることがあります。筋紡錘に刺激を入れ、筋肉の柔軟性を向上することで身体のバランスが調整され、姿勢が正されます。その結果、痛みや不快感が軽減されることがあります。
ストレスの軽減
オステオパシーの施術で最も強力な効果は、リラックス効果かもしれません。施術で頚部の筋紡錘に刺激を入れることでストレスや緊張の軽減が可能となっています。施術中に『宇宙に行ったかのような浮遊感を感じる』と言われるぐらいに頭が軽くなり、痛みや不快感が和らぎます。頚部に集まる全身の筋紡錘にアプローチすることで身体全体がリラックスした状態になることが報告されています。
神経系の調整
オステオパシーは神経系の調整にも役立ちます。神経は筋肉の中を走行しています。筋肉の柔軟性が向上することにより神経の圧迫や緊張が軽減されます。その結果、神経系の機能が改善され、痺れや痛み、その他の感覚や運動の問題が緩和されることがあります。
これらの効果は、オステオパシーの施術によって症状や状態に応じて異なります。効果の感じ方や程度も個人差がありますが、多くの人々がオステオパシーを受けて身体の調子や健康に改善を感じることが報告されています。
オステオパシーの対象疾患
オステオパシーはどちらかというと筋・骨格系よりも自律神経系への働きかけが強い印象です。
整形外科疾患にももちろん有効ですが、当院ではどちらかというと自律神経系や難病患者さんに対して使用しています。
整形外科疾患以外の症状
- パーキンソン病
- 多系統萎縮症
- バセドウ病
- 橋本病
- スティッフパーソン症候群
- 脳梗塞後遺症
- 関節リウマチ
- 膠原病
- シェーグレン症候群
- メニエール病
- めまい発作
- 良性発作性頭位めまい症
- 動悸
- 頭痛
- 自律神経失調症
- 不安神経症
- 不安・抑うつ
- 不眠症
- コロナ感染後遺症
整形外科疾患
- 変形性頚椎症
- 頚椎症性神経根症
- 頚椎症性脊髄症
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 頸椎捻挫後遺症(ムチウチ)
- 腰椎捻挫
- 手足の痺れ
当院でのオステオパシー
当院では、日本でのオステオパシーの資格は取得していません。
オステオパシーの学びは大学院、そして福大病院の頃、アメリカからM-Testを学びに来ていた日本人のオステオパスドクターであるT先生に教わったことがきっかけでした。(T先生はオステオパシー専門の大学の教授でした。)
学びの際、アメリカのオステオパスドクターが日々行っている修行と学びのための参考書、治療の際に必要な知識と技術を教えてくれたのち、福大のスポーツ科学部学生に必死で試したのを覚えています。
オステオパシーの施術を受けると、術者の手から渦のような力を感じます。また、頚部がリラックスすることにより軽さと浮遊感を感じる人もいらっしゃいます。
自律神経失調症やうつ、不眠などにお悩みの方、動悸や頭痛、肩こりなどの頚部症状にお悩みの方にはオステオパシー単独でも十分効果が期待できます。
鍼灸と合わせて、施術を受けてみたい方はご受診の際に相談されてくださいね。
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