ぎっくり腰の患者さんがご来院
先日、ぎっくり腰を発症した患者さんがご来院されました。突然の激しい腰の痛みに襲われ、動くのも困難な状態でした。失礼ながら興味深かったのは、首を動かしたり、手を動かしたりすると腰にまで痛みが響くという点です。このような患者さんは意外に多いのですが、腰に直接負担をかけていないはずなのに、腰痛を誘発するには理由があります。
手にある腰痛のツボ
腰痛治療の代表的なツボとして、腰痛点と呼ばれるツボがあります。手にあるこのツボは腰痛、特にぎっくり腰では有効とされています。今回はこのツボは使いませんでしたが、同じように手にあるツボを使うことである程度の痛みが改善し、そこだけの治療でもこの方は動けるようになりました。(もちろん、痛みを最大限改善するために他にも治療をしています)
このように、手にあるツボでも東洋医学では腰痛に効果があることを見つけています。ですが、すべての患者さんが手のツボで改善するとは限りません。
では、なぜこの患者さんには手のツボが効果的だったのでしょうか? その答えは「運動連鎖」にあります。
運動連鎖とは?
運動連鎖(キネティックチェーン)とは、体の各部分が連動して動く仕組みのことを指します。例えば、歩く動作を考えてみてください。足だけでなく、骨盤、背骨、肩、腕など、全身が協調して動いています。逆に、この連携がうまくいかなくなると、特定の部位に過剰な負担がかかり、痛みやケガの原因となります。
ぎっくり腰の患者さんのように、手や首を動かしたときに腰が痛む場合、背骨全体の運動連鎖が乱れている可能性が高いです。つまり、腰だけの問題ではなく、体全体の動きに問題があるのです。
運動連鎖が乱れるとどうなる?
運動連鎖が乱れると、特定の部位に過剰な負担がかかります。今回の患者さんの場合、手や首を動かした際に腰に痛みが響くということは、背骨全体の動きがスムーズでないことを示しています。通常であれば、首や腕を動かしても腰には大きな負担はかからないはずですが、運動連鎖が崩れると、その影響が直接腰に及んでしまうのです。
このような場合、手のツボを刺激することで腰の痛みが軽減することがあります。これは、ツボが神経の流れや筋膜のつながりを介して運動連鎖を改善する役割を果たしているためです。しかし、すべてのぎっくり腰の患者さんに同じ方法が効くわけではありません。重要なのは、個々の体の状態を見極め、適切な治療を施すことです。
運動連鎖を整えることでぎっくり腰を予防する
ぎっくり腰は一度発症すると再発しやすいと言われています。しかし、運動連鎖を整えることで予防することが可能です。以下の方法を取り入れることで、自宅でもある程度は運動連鎖を改善することができ、ぎっくり腰を防ぐことができます。(発症後はちゃんとした治療が必要なので、あくまで以下は予防ですよ!)
1. 正しい姿勢を意識する
姿勢の崩れは運動連鎖の乱れにつながります。長時間のデスクワークやスマホの使用で猫背にならないように注意しましょう。
2. 背骨を柔軟に保つストレッチ
背骨全体の動きをスムーズにするために、以下のストレッチを日常的に行いましょう。
- 背中を丸めたり反らせたりする「キャット&カウ」
- 背骨をねじるツイストストレッチ
- 肩甲骨を動かすエクササイズ
3. 深い呼吸を意識する
呼吸と運動連鎖は密接に関係しています。特に、横隔膜をしっかり動かす腹式呼吸を取り入れると、体幹の安定性が向上し、腰への負担が軽減されます。
4. 適度な運動を続ける
運動不足も運動連鎖を乱す原因の一つです。ウォーキングや軽い筋トレを取り入れ、体全体をバランスよく動かす習慣をつけましょう。
以上の4つがぎっくり腰を予防するために必要なポイントです。特に2つ目のストレッチは意識してください。背骨だけでなく、身体全体を柔軟に保つことで、ぎっくり腰だけでなく他の痛みや自律神経系の症状を改善することもできます。
まとめ
ぎっくり腰の痛みが首や手の動きと連動している場合、運動連鎖が乱れている可能性が高いです。手のツボが有効なケースもありますが、根本的な解決には運動連鎖を整えることが重要です。
日頃から正しい姿勢やストレッチ、呼吸法、適度な運動を心がけることで、ぎっくり腰の予防につながります。もしぎっくり腰を繰り返してしまう場合は、腰だけでなく、体全体の動きを見直してみることをおすすめします。
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